日額10000円、60日型、60歳払込という終身医療保険に10年前から加入しています。見直しした方が良いでしょうか?
この手のタイプの医療保険には3つ課題があります。
1短期払い込み終身
民間の医療保険は保障内容が古くなりやすい保険商品の一つです。
医療政策と医療技術に変化によって新しい商品が次々に出てきています。60歳まで払って終身保障ということはこの保険と一生涯付き合うというスタンスになります。過去の医療保険が現在あまり役に立たないように、今入っている保険が将来役に立つか疑問です。
また、60歳まで払い込む分、保険料も高くなります。この手のタイプは保険料を払い込むことが目的になってしまう可能性もあります。もし加入するなら終身払いタイプの方がまだ良いでしょう。医療政策や医療技術の変化に応じて見直しやすいからです。
2日額タイプ
1日10000円などの日額タイプの医療保険は、入院すればする程、多くの給付金を受け取ることができます。一方で国の医療費削減のために入院日数は短期化しており、今は通院がメインになっています。日額タイプの医療保険は国の医療政策とミスマッチが起きています。
また、一部を除き保険商品はインフレに弱いという側面があります。今の10,000円は将来の10,000円と同じ価値ではありません。基本的に物価は上昇していきますので、額面固定の保険商品を長く持つのはお勧めできません。日本銀行も物価2%を目標に金融政策を行っています。物価上昇が1%でも続くならば、30年後は13,500円くらいなっていないと今の10,000円と釣り合いません。言い換えると1%の物価上昇が続くと今の10,000円は30年後に7,400円くらいの価値になります。
360日型
日額タイプは長く入院すれば給付を多く受けることができますが、60型だと仮に70日入院しても60日分しか給付を受ける事ができません。
また、180日ルールがあります。60日以上入院しても次の給付を受けるに180日開けないといけません。保険料はその分上がりますが、長期入院や長期にわたって入退院を繰り返すなら365型、730日型の方が役に立つと思われます。入院で本当に困るのは長期化した場合です。長期化するケースはまれで、重症な精神疾患をはじめ、神経系疾患、脳血管疾患などが該当します。本当に困るリスクに備えるのが保険の在り方です。そうでなければ健康保険制度もあるので、手持ち資金で対応する方が合理的とも言えるのではないでしょうか。
まとめ
以上のように、医療保険には幾つか課題があります。民間の医療保険に加入する際は、公的保険である健康保険制度をよく理解し、自己資金の有無も含めて、必要性があるかどうか検討してみてください。加入するなら新しく役に立つものを選びましょう。医療保険は、保障内容が古くなる可能性があるので、都度見直しをして、いつかは医療保険を卒業しましょう。必要なのは医療保険ではなく医療費をまかなえるお金です。