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良くないセールスを見分けるポイント
保険セールスは、「保険料×手数料率×件数」で収入や売上が決まります。そのため、必要以上に保険料を高くしたり、手数料率が高い商品や手数料率が高くなるような入り方で提案したり、社会保障があるのに必要性の低い保険を販売する傾向があります。
以前よりも情報収集をしやすくなりましたが、売り手と買い手には情報の非対称性があり、売り手主導で保険販売が行われているように感じます。
本コラムでは保険選びで失敗しないように、セールスを見分けるポイントを整理してみました。
ポイント1
社会保険(遺族年金、障害年金、老齢年金等)や健康保険(高額療養費、付加給付など)の知識が乏しい人、職場の福利厚生を確認しない人。
民間保険は社会保障を補完する役割です。会社員であれば社会保険料を年収の15%位払っていますので、それを活かさない手はありません。社会保険をふまえて合理的に民間保険を掛ける必要があります。
必要性の低い保険の代表格が医療保険です。健康保険制度があるので自己負担が3割から1割で済み、医療費が高くなっても高額療養費もあります。健康保険組合によっては、傷病手当金があり自己負担がより少なくなります。病気が重度化、長期化しない限りは、預貯金などの自己負担で十分カバーできるはずです。
また、所属先の弔慰金、退職金制度、職場で契約できる団体保険や団体医療保険も確認すべきです。保険料が安価な団体医療保険を活用せず、一般的な医療保険を加入している場合もあります。
ポイント2
民間保険のデメリットである、インフレに弱い、内容が陳腐化しやすいことを説明しない人。お金の現在価値と将来価値は異なります。一部を除き、ほとんどの保険商品は額面が固定されるので、物価上昇に対応できません。内容も入った時の約款で決まりますので、その保障内容で将来の変化に対応できるかは分かりません。医療制度や医療技術は都度変化していきます。
ポイント3
保険以外を扱えない人。
保険商品しか取扱いがなければ、保障も貯蓄も何でも保険で提案しようとします。保険商品にはメリットだけでなく、デメリットやリスクもあるため、ライフプランの課題を保険だけで解決しようとすると無駄も多くなります。
ポイント4
教育資金も老後資金も何でも保険で解決しようとする人。投信と比較せず、貯蓄性保険の優位性を強調する人。
貯蓄性保険とは、変額保険やドル建て保険、円建て終身保険、個人年金、学資保険など貯蓄や資産形成となる保険です。多くの保険商品は費用が多く、死亡保障もあるため資産形成としては効率が良くありません。資産形成を優先にするならば、税制メリットのあるNISA制度やiDeCo(DC)を通じて投信を活用した方が良いでしょう。もちろん、死亡保障や相続対策を優先に考えるならば貯蓄性保険も有効です。
ポイント5
貯蓄性保険を高額な保険料で提示してくる人。
セールスは、「保険料×手数料率」で収入が決まるため、手数料目的に、高額な保険料で提案してくることがあります。預貯金や資産運用とのバランスや支払いの継続性を考慮せずに、保険料を高めに設定する人は顧客利益を優先にしていない可能性があります。最初から払い済みを前提で保険料を高めに提案してくる人も同様です。
ポイント6
将来的な支払いの心配やケアをしない人。多くのセールスは販売手数料を初年度に多く受け取り、次年度から少なくなり4年から8年ほどで手数料がなくなるという体系になっています。長く払ってもらっても収入には関係がないので、払い続けられるか気にしない傾向があるようです。また、手数料率を上げる提案になりがちです。例えば、終身保険は3年、5年といった短期払いよりも20年、30年など支払期間を長くすると手数料率がその分上がります。コミッションセールスのため、利益相反が起きやすくなります。